冬の乾燥肌対策

　気温が低下し、空気が乾燥する冬は、血行不良やお肌の水分量の低下によるカサつきやかゆみなどが起こりやすくなります。今回は、そのような肌トラブルを防ぐ乾燥肌対策のポイントをご紹介します。

もくじ
１．冬にお肌が乾燥しやすい理由
２．乾燥肌を防ぐための毎日のケア
　(1) 毎日の保湿ケア
　(2) 入浴のポイント
　(3) 室内の湿度管理

3．乾燥肌によるトラブルの対処法

1. 冬にお肌が乾燥しやすい理由

　お肌には、健康な状態を保つために「バリア機能」という働きが備わっています。バリア機能とは、紫外線や雑菌などのあらゆる外部刺激からお肌を守りながら、肌内部からの水分蒸発を防ぎ、うるおいのあるお肌を保つ機能です。そのバリア機能を担っているのが、お肌を覆っている表皮の最も外側にある「角質層」です。バリア機能が正常に働くには、角質層がうるおいで満たされている必要があります。

　冬は気温の低下により、空気中の湿度が低下します。また、室内においても暖房により湿度が低下しやすい季節です。湿度が低下すると、皮膚から蒸発する水分量が増加して角質層の乾燥が進み、お肌のバリア機能が低下してしまいます。その結果、外部刺激を受けやすい状態となり、肌荒れなどのトラブルが起こりやすくなります。

これらに加えて、気温が低下すると、体の中心部の温度を保つために血管が収縮します。この血管の収縮により、手先や足先への血流が減ることで血行不良を引き起こします。血行不良になると、お肌の細胞に栄養が行き届きにくくなります。その結果、お肌のターンオーバー（肌の細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組み）が乱れ、バリア機能が低下することがあります。
このように、バリア機能が低下して乾燥肌になりやすい冬は、適切な対策を行うことが大切です。

このように、バリア機能が低下して乾燥肌になりやすい冬は、適切な対策を行うことが大切です。

2. 乾燥肌を防ぐための毎日のケア

　冬の乾燥肌対策は、十分な保湿ケアに加え、お肌への刺激を減らすことが重要です。お肌のうるおいを守るためのポイントをご紹介します。

(1) 毎日の保湿ケア

　入浴後や洗顔後のお肌は、皮脂が少なくなり、水分が蒸発しやすい状態です。そのため、お肌の乾燥が進み始めるといわれる10分以内に保湿ケアを行いましょう。保湿には欠かせない成分である、バリア機能をサポートする「セラミド」が配合されているものがおすすめです。また、セラミドの材料となる脂肪酸（リノール酸など）を含む「馬油」は、皮脂の代わりに角質層の表面を保湿・保護する効果が期待できます。

(2) 入浴のポイント

　熱いお湯に長時間浸かると、皮脂や角質内の保湿成分が流出してしまい、皮膚の乾燥やかゆみを生じやすくなります。そのため、お湯の温度は40℃前後に設定し、入浴時間は20分以内を目安にしましょう。ぬるめのお湯にゆったり浸かることで血行の改善が期待できます。

　体を洗う際は、ボディソープや石鹸を十分に泡立てて、こすり洗いは避けて優しく洗いましょう。ボディタオルやスポンジを使用する場合は、綿やシルクなどの天然素材の柔らかいものを選び、ゴシゴシとこすらないように注意しましょう。また、入浴時にホホバ油やスクワランなどの保湿成分入りの入浴剤を使用することもおすすめです。アルコールや界面活性剤などの成分が含まれている入浴剤は、肌への刺激が強いため、乾燥肌の方は避けた方が良いでしょう。

(3) 室内の湿度管理

　暖房は、水蒸気を発生させないため、加湿器を併用して空気中の水分を補い、適度な湿度を保ちましょう。室内の湿度は温湿度計などで確認し、40～60％程度に保つと良いでしょう。湿度を上げる簡単な方法としては、洗濯物を室内に干したり、お湯を沸かして蒸気を発生させたりすることも有効です。

3. 乾燥肌によるトラブルの対処法

　肌トラブルが生じてしまった場合は、症状に合わせた外用薬を使用して対処する方法もあります。

手指のあかぎれ、手湿疹

　炎症を起こして赤いブツブツが出ている場合は、炎症を抑える働きのある「ステロイド成分」（成分例：プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど）が配合された外用薬が適しています。

かかとなどの皮膚が乾燥して硬くなっている

角質を柔らかくする「尿素」が配合されたクリームが適しています。

皮膚のかゆみ・カサつき

かゆみを和らげる「抗ヒスタミン成分」（成分例：クロルフェニラミンなど）や、保湿作用と抗炎症作用を併せ持つ「ヘパリン類似物質」が配合された外用薬が適しています。また、体の内側からケアする方法として、皮膚が乾燥し、体が温まるとかゆくなるタイプの方に適した「当帰飲子（とうきいんし）」という漢方薬などもあります。

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