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今冬の感染症対策について

 今冬は、インフルエンザが例年より早く流行し、新型コロナウイルス感染症と同時流行するのではないかと懸念されています。
そこで今回は、冬の感染症対策と、発熱や咳等の症状がある場合の対応についてご紹介します。

1. 冬の感染症対策のポイント

 新型コロナウイルス感染症が流行する以前、毎年冬にはインフルエンザの流行が見られました。日本国内では、例年累計で1,000万人の感染者がいるといわれていましたが、新型コロナウイルス流行後の2年間は、インフルエンザの患者数が激減している状況です。しかし、今冬は水際対策等の緩和、インフルエンザの免疫を獲得している人の減少、海外のインフルエンザの流行状況等の理由により、日本国内でもインフルエンザが新型コロナウイルス感染症と同時に流行するのではないかと懸念されています。

 新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ・風邪等の冬に流行する感染症は、「飛沫や接触により感染する」点が共通しています。そのため、これらの感染症を予防するためには、マスクの着用・手洗い・うがいにより、鼻やのどからのウイルスの侵入を防ぐことと、免疫機能を維持することが大切なポイントです。

 免疫機能の維持のためには、栄養バランスの取れた食事と、十分な睡眠を取り、しっかり体を休めましょう。ストレスは免疫機能の低下に影響を与えるともいわれているため、ストレスを溜め込まないように、心身のリフレッシュを心がけましょう。また、タバコに含まれる有害物質は免疫機能の低下に影響を与えるともいわれているため、喫煙者の方は禁煙に挑戦することをおすすめします。
 免疫機能の維持をサポートする乳酸菌の機能性表示食品等を、食生活の中で取り入れることも良いでしょう。

2. 症状がある場合の対応について

 新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ・風邪は、初期症状として発熱、咳、のどの痛み等の風邪様の症状、味覚・嗅覚の異常、倦怠感等の症状が見られますが、症状が似ているため、検査以外で判別することは難しいといわれています。
 そのため、発熱や咳等の症状がある場合には、自己判断せず、かかりつけ医等の医療機関や「受診・相談センター」に電話で相談すると良いでしょう。

 次の症状が見られる場合は、すぐにかかりつけ医等の医療機関に相談するようにしてください。

 ・38~39℃を超える高熱が出る
 ・咳や痰が強く出る、または長く続く
 ・味覚や嗅覚に異常を感じる
 ・息苦しさや強い倦怠感がある
 ・症状が4日以上続く 等

 他にも、ぜんそく等の慢性呼吸器疾患や糖尿病、心疾患等の基礎疾患を持っている方、ご高齢の方や妊娠している方は、症状が悪化する場合があるため、早めにかかりつけ医等に相談するようにしましょう。

 小学生以下のお子様は、かかりつけ医等、地域の小児科等に相談するようにしましょう。なお、お子様の症状は年齢等によって様々なため、機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子を見たり、かかりつけ医等にご相談ください。

 前述に当てはまらない重症化リスクの低い方は、薬局等で購入可能な医療用または一般用の抗原検査キットでセルフチェックを行うようにしましょう。セルフチェック後、陽性が判明した場合には、自治体毎にある窓口の案内に従ってください。

3. 新型コロナウイルス感染症・インフルエンザではなかった場合の対応

 医療機関の受診や抗原検査キットによるセルフチェックを行い、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザではなかった場合は、安静にしてゆっくりと体を休めるようにしましょう。念のため、症状があるうちは不要な外出を控え、毎日体温を測り、記録をしておくと良いでしょう。

 風邪であれば、通常、3~4日をピークに軽快に向かいますが、症状に合わせて市販の風邪薬を使用することも出来ます。発熱やのどの痛み、咳・痰、鼻水・鼻づまり等、つらい症状を緩和するのに適した薬を選ぶと良いでしょう。ここでは市販薬の選び方をご紹介します。

(1)熱が特につらい時

 症状が出始めて寒気がある時は、体の免疫の働きを高めるために熱が上がりかけている場合もあるため、漢方薬の「葛根湯」を選ぶと良いでしょう。発熱は体を守るための反応でもあるため、むやみに下げないほうが良いといわれていますが、熱が続くと体力が奪われてしまいます。熱があってつらい時には、解熱鎮痛成分「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」が配合された風邪薬(「新ルルAゴールドDX」、「ベンザブロックIPプレミアム」等)を選ぶと良いでしょう。
 また、脱水を防ぐために、経口補水液やスポーツドリンク等で水分と電解質を摂ることを心がけましょう。発熱時は体のビタミン類を消耗するため、栄養ドリンク等で補給すると良いでしょう。

(2)のどの痛みが特につらい時

 のどが痛い時は炎症を起こしていることが多いため、解熱鎮痛成分と併せて「トラネキサム酸」等の抗炎症成分が配合された風邪薬(「ルルアタックEX」等)を選ぶと良いでしょう。乾燥により痛みが強くなることも多いため、保湿効果のあるマスクやのど飴、トローチ等でのどをうるおしたり、加湿器で部屋の湿度を適正に保つようにすると良いでしょう。

(3)咳・痰が特につらい時

 咳や痰がつらい時は、咳を鎮める成分である「ジヒドロコデイン」や去痰成分である「L︲カルボシステイン」等が配合された風邪薬(「ストナプラスジェルEX」等)を選ぶと良いでしょう。痰の症状が強く切れにくい時には、普段より水分をこまめに摂るようにしましょう。痰が柔らかくなり排出されやすくなります。

(4)鼻水・鼻づまりが特につらい時

 鼻水がつらい時は、鼻水を抑える成分である「クロルフェニラミンマレイン酸塩」や「ヨウ化イソプロパミド」等が配合された風邪薬(「ベンザブロックSプレミアム」等)を、鼻づまりがつらい時には「プソイドエフェドリン」等が配合された風邪薬(「ベンザブロックLプレミアム」等)を選ぶと良いでしょう。鼻づまりを楽にしたい時は、蒸しタオルで鼻の周りを温めることで鼻腔が広がり、鼻の通りが良くなります。

 なお、風邪薬の中には、副作用として眠気を生じさせる成分が配合されたものもあります。車を運転する等の方は、眠くなる成分が配合されていない薬や、漢方薬等を選ぶと良いでしょう。日中の服用を忘れがちな方は・効き目の長い1日2回服用するタイプを選ぶと良いでしょう。その他、症状や目的に合わせてどんな風邪薬を選んで良いか分からない場合には、ドラッグストアの店頭で薬剤師や登録販売者等の専門家にお気軽にご相談ください。

 冬はインフルエンザや風邪の他にも、感染性の胃腸炎等、様々な感染症が流行する季節です。寒く乾燥するこの時期だからこそ、感染症に負けない体調管理や予防を行い、症状のある時には今回ご紹介した対処方法等を参考に、このシーズンを乗り切りましょう。

参考資料

・ 伊東明彦・中村智徳 編(2021)今日のOTC薬 解説と便覧 改訂第5版 南江堂

ドラッグインフォメーショングループ

2022.12.01