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春の花粉シーズン、日常生活における対策のポイント

 春は、様々な種類の植物の花粉が飛散し、花粉症に悩む方が多い季節です。この時期を少しでも楽に過ごすためには、日常生活における対策を行い、薬で症状を軽減することも大切です。
今回は、花粉症対策のポイントについてご紹介します。

1. 花粉症について

 花粉症は、花粉が原因となって起こるアレルギー性疾患の総称です。春に特に多く見られるのがスギ・ヒノキによる花粉症で、水のようなサラサラした鼻水、鼻づまり、繰り返すくしゃみの症状が主な特徴です。他にも、目のかゆみ、喉の痛みや不快感、皮膚のかゆみ等の症状が現れることもあります。現在、日本人のおよそ4割が花粉症に罹患しているといわれており、年々増加傾向にあります。また、スギ花粉症も同様で増加傾向にあり、今では日本人の3人に1人がスギ花粉症と推定されています。

 花粉症の症状は風邪と共通する点が多くありますが、異なる点もあります。例えば、風邪の引き始めは、水のようなサラサラした鼻水、くしゃみ、鼻づまりがあって花粉症と区別が付きにくいですが、次第にくしゃみは治まり、粘り気の強いドロッとした鼻水に変わっていきます。花粉症では、水のようなサラサラした鼻水とくしゃみがずっと続きます。

 また、風邪は、発熱・咳・頭痛等の症状を伴うことも多く、時間帯に関係なく、1日中、同じ程度の症状がありますが、通常は数日で軽快します。このような症状の違いを目安に、症状が花粉の飛散時期に起こり、2週間以上続く場合は、花粉症の可能性が高いと考えて対処すると良いでしょう。

2. 日常生活における対策のポイント

 花粉症の症状を和らげるためには、出来る限り花粉を体内に取り込まないことが大切です。次のポイントを参考に、出来ることから実践してみると良いでしょう。

(1) 花粉予報を確認する

 花粉が飛散する時期には、TV・ラジオ・インターネット等で花粉の飛散予測の情報が確認出来ます。外出の予定を立てる時は、事前に情報を確認して、飛散量が多い日には不要不急の外出は避けるようにすると良いでしょう。

(2) マスク・メガネの着用

 花粉の侵入を防ぐために、外出時はマスク・メガネを着用すると良いでしょう。マスクは、ご自分に合ったサイズを選び、花粉が入り込む隙間が出来ないように顔に密着させ、鼻からあごまでしっかり覆うように着用しましょう。ワイヤーが付いている場合は、鼻の形に沿うように調整しましょう。

 メガネは、花粉の侵入を防ぐフード(防護カバー)付きの花粉対策用メガネがおすすめですが、通常のメガネでも一定程度防ぐことが出来るといわれています。普段コンタクトレンズを使用している方も、この時期はメガネに代える等しても良いでしょう。

(3) 花粉を家の中に持ち込まない

 帰宅した際は、玄関先でしっかりと花粉を払い落としましょう。外出時は、花粉が付きにくい、綿やポリエステル等のツルツルした素材の上着を着る、帽子やストール等で髪や肌に花粉が付かないように工夫することで、花粉を払い落としやすくなります。肌を保護し、花粉等の微粒子の付着を抑制するスプレーや、メイクの前に使用して花粉等の微粒子の付着から保護する保護美容液、花粉の肌・髪への付着を抑える花粉対策グッズを併せて活用すると良いでしょう。

 また、一度室内に入り込んだ花粉は中々出ていかないといわれているため、こまめな掃除を心がけましょう。換気は雨の降っている日に行う、洗濯物を干す際は花粉の飛散が少ない午前10時頃までに行う等、工夫すると良いでしょう。

3. 市販薬の選び方

 症状がつらい場合には、薬を使用して症状を和らげましょう。市販薬には種類がありますので、症状の部位や程度、使用する状況に合わせて選ぶと良いでしょう。

(1) くしゃみ・鼻水等の鼻症状がつらい場合

 花粉症の鼻症状が毎年つらいという方は、花粉飛散予測日もしくは症状が出始めた頃から、抗アレルギー作用を持つ第2世代抗ヒスタミン成分の「フェキソフェナジン塩酸塩」や「ロラタジン」等が配合された内服薬(「アレグラFX」「クラリチンEX」等)を使用すると良いでしょう。早めに服用を始めることで、症状が悪化しづらくなるといわれています。

 花粉の飛散量が増えて症状が強く出ている場合には、比較的速効性のある第1世代抗ヒスタミン成分「クロルフェニラミンマレイン酸塩」や、血管を収縮させる成分「プソイドエフェドリン」等が配合された内服薬を選ぶと良いでしょう。但し、第1世代抗ヒスタミン成分が配合された内服薬は、比較的眠気や喉の渇き等が起こりやすいため、症状がつらい期間にだけ使用すると良いでしょう。

 自動車等を運転する方は、眠気が出にくい第2世代抗ヒスタミン成分が配合された内服薬の他、ステロイド成分が配合された点鼻薬(「フルナーゼ点鼻薬」等)や漢方薬(「小青竜湯」等)もおすすめです。

(2) 目のかゆみ・充血がつらい場合

 目のかゆみには、抗ヒスタミン成分と合わせて抗アレルギー成分「クロモグリク酸ナトリウム」や、抗炎症成分「プラノプロフェン」が配合されたアレルギー用点眼薬(「マイティアアイテクトアルピタット」等)を選ぶと良いでしょう。

 また、ドライアイの状態は、涙が少なくなって目に付着した花粉が流されにくくなり、花粉症の症状を悪化させることがあるともいわれています。普段から目が乾きやすい方は角膜保護成分「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」が配合されたアレルギー用点眼薬(「ロートアルガードクリアブロックZ」等)を選ぶ、目の中に入った花粉を洗い流すことが出来る洗眼薬を併用することも良いでしょう。

 なお、店頭には市販薬の他、目や鼻の不快感を緩和する効果が期待される機能性表示食品や鼻洗浄用品等、花粉症対策に役立つ商品があります。ご自身に合う薬や商品を選びたい方は、店頭の薬剤師や登録販売者等の専門家へお気軽にご相談ください。

 2024年の花粉飛散量は、猛暑の影響で全国的に多いまたはやや多い傾向と予測されています。スギ・ヒノキの花粉の飛散は数ヶ月にも渡ります。今回ご紹介したポイントを参考に日常生活における花粉対策を行い、つらい時期を少しでも快適に過ごしましょう

参考資料

・ 伊東明彦・中村智徳 編(2021)今日のOTC薬 解説と便覧 改訂第5版 南江堂

ドラッグインフォメーショングループ

2024.03.01