秋の疲れ目にご用心

　秋に入ると次第に「なんとなく目が疲れる」「最近、ピントが合いづらい」と感じる方が増えてきます。これは、季節による環境の変化が、目や体の不調に大きく関わっているためです。
今回は、秋の疲れ目の原因と対処法をご紹介します。

もくじ
１．秋に疲れ目が増える原因
２．疲れ目を予防するために
3．疲れ目の対処法

1.秋に疲れ目が増える原因

　秋は寒暖差が大きく、秋雨前線の影響で気圧が変動しやすい季節です。こうした環境の変化が自律神経のバランスを乱し、目の機能に影響を与えることがあります。さらに、湿度が低下することで空気が乾燥し、目の表面からの水分の蒸発量が多くなり、目が乾いた状態が続くことで、疲れ目を引き起こす原因になります。

　近年は、電子書籍で読書を楽しむ方が増えていますが、スマートフォンやタブレットなどの画面を長時間見続けることで、目はストレスを受けてしまいます。ストレスにより自律神経が乱れて、「交感神経（体を活発に活動させる時に働く神経）」が働きすぎると、目のピント調整を担う「毛様体筋」という筋肉が緊張し続け、筋肉疲労を起こします。その結果、ピントが合いづらくなることで、目の疲れを感じやすくなります。

　さらに、集中して物を凝視していると、まばたきの回数が減って涙の量が少なくなります。秋は空気が乾燥していることもあり、目が物を捉える際にレンズとして機能する「角膜」が乾燥しやすくなります。角膜が乾いた状態では、まばたきをするだけでまぶたとの摩擦により角膜が傷付くリスクを伴うため、目のかすみ・充血・目の疲れなどの不調を引き起こすことがあります。

　疲れ目は、症状が進行して「眼精疲労」になってしまうことがあります。基本的に疲れ目は一時的なもので、充分に目を休ませれば改善します。しかし、眼精疲労は目を休ませても改善しないことに加えて、肩こりや頭痛、倦怠感など、全身に不調をもたらすのが特徴です。そのため、疲れ目の症状を感じた際は症状が進行しないように早めに対処することが重要です。

2. 疲れ目を予防するために

　では、疲れ目を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。まずは、日常生活の中で目に負担をかけすぎないように工夫することが大切です。空気の乾燥は目に負担をかけるため、目の疲れや乾燥を感じたタイミングで、症状に合った目薬を使用して目のうるおいを守りましょう。加湿器を使用して室内の湿度を50～60％程度に保つこともおすすめです。またスマートフォンやタブレットを使う時は、画面と目の距離を40㎝以上離すことを心がけましょう。画面が見づらい場合は、自分の目に合った眼鏡や老眼鏡を使い、視力を矯正しましょう。

　画面を長時間見る場合は1時間に1回、10～15分程度の休憩を入れ、目を休ませるように意識すると、ピント調整を担う「毛様体筋」の緊張を緩めることができます。

　その他、朝は決まった時間に起き、軽い運動やストレッチを取り入れて血行を良くすることや、外出する時には、室温と外気温との温度差で体に負担をかけないように上着を持ち歩くなど、自律神経のバランスを整えることを意識しましょう。夜はホットアイマスクなどのリラックスグッズを活用して、目も体もしっかり休める生活環境を整えましょう。

3. 疲れ目の対処法

　疲れ目を感じた時には、早めの対処が必要です。疲れ目とともに目のピントが合わないように感じる場合には、ピント調節機能を改善する「ビタミンB12」や「ネオスチグミンメチル硫酸塩」などが配合された目薬がおすすめです。また、目の疲れとともに目が乾いているように感じる場合には、「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」や「ヒアルロン酸ナトリウム」などが配合された目薬を利用すると良いでしょう。

　さらに、目の疲れとともに肩こりなどの症状を感じている場合には、目薬と併用する形で血流促進作用のある「へプロニカート」や「オキソアミヂン末」が配合されたビタミン剤（「キューピーコーワiプラス」など）を服用することをおすすめします。その他、肩こりに伴う痛みを和らげる湿布薬や、年齢とともに手元のピントが合いづらいなど大人の目のお悩みをお持ちの方に適した機能性表示食品もあります。ご自分に合う目薬やビタミン剤・サプリメントなどをお探しの方は、お気軽に店頭の薬剤師や登録販売者などの専門家にご相談ください。