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フレイル対策で健康寿命を延ばそう

 日常生活に支障なく健康的に過ごせる期間のことを「健康寿命」と言います。老後、この「健康寿命」を延ばすためには、筋肉量を維持して動ける体を保つことが大切だと考えられています。
そこで今回は、健康寿命に影響するといわれる「フレイル」とその対策についてご紹介します。

1. フレイルとは

 「フレイル」とは、年を重ねて体力や気力、認知機能等、体や心の働きが弱くなっている状態のことを言います。健康から要介護へ移行する中間の段階に位置し、①身体的要素、②精神・心理的要素、③社会的要素の3つが影響して進行していきます。

 フレイルは健康な状態と要介護状態の中間にあり、日常生活に影響が出始める状態とも言えますが、自分の状態と向き合い対策を図ることで、その進行を緩やかにし、健康に過ごせていた状態に戻すことも出来ます。

 フレイルの最も大きな原因の一つが筋肉の衰えといわれます。筋肉量は20代頃をピークに年齢とともに低下し、50代以降は急激に減少していくといわれているため、フレイル対策には早いうちから筋肉の維持に取り組むことが大切です。近年は感染症対策のための外出自粛によって、活動量の低下等、フレイルへの影響も懸念されています。健康的な毎日を少しでも長く過ごすために、フレイル対策に取り組みましょう。

2. フレイル対策のポイント

 フレイル対策には、栄養バランスの取れた「食生活」と適度な「運動」、そして「社会参加」の3つに取り組むことが大切です。どれか1つに取り組むのではなく、幅広く取り組めるように、ご自身の出来ることから始めましょう。

(1)食生活

・1日3食を心がける

 ご高齢の方の食生活は、同じ物ばかりを食べる等、単調になったり、食事の回数が減りやすい傾向があります。そのような食事では、健康な体を維持するために必要な栄養素を確保出来ない「低栄養」の状態に陥りがちです。
 1日に必要なエネルギーと栄養素をしっかり摂るために、出来るだけ主食・主菜・副菜を揃えた食事を、1日3食、規則正しく取ることを心がけましょう。必要な栄養素を幅広く摂るためにも、特定の食品に偏らず、様々な食品を組み合わせて摂るようにしましょう。

 また、いつまでもおいしく食事が出来るように、毎日の歯みがきや、定期的な歯科健診等歯と口の健康維持にも努めましょう。

・たんぱく質を意識して摂る

 たんぱく質は、筋肉の材料となる大切な栄養素です。しかし、筋肉を作る働きは加齢とともに低下してしまうため、筋力を維持するためには、たんぱく質を意識して摂ることが大切です。
 成人男性では1日当たり60~65g、成人女性では1日当たり50gのたんぱく質の摂取が推奨されているため、毎食20g、調理やカットされた肉や魚の場合は、手のひらと同じサイズの量を目安に摂ると良いでしょう。また、たんぱく質を構成するアミノ酸は、食品により種類が異なるものもあるため、様々な食品からたんぱく質を摂ることを心がけましょう。

 なお、食欲がない等で食事量が少ない時や、不足しがちなたんぱく質等の栄養素を補いたい場合等には、栄養補助食品やプロテイン、野菜不足に役立つサプリメント、認知機能等をサポートする機能性表示食品等をご自身の目的等に合わせて取り入れる方法もあります。ご自身に合った商品が分からない場合や食生活のお悩み等がある方は、どうぞお気軽に店頭の栄養士等の専門家にご相談ください。

(2)運動

 加齢に伴い、筋肉量は減りやすくなります。その結果、筋力が低下すると外出等が億劫になり、フレイルのリスクが高まります。筋力維持のために活動量を増やすよう、歩いて買い物に出掛けたり、エスカレーター・エレベーターの利用を控え、なるべく階段を使う等、日常生活の中で工夫をして、意識的に体を動かすことを心がけましょう。
 また、無理のない範囲で運動を行うようにしましょう。筋力を維持するためには、散歩やウォーキング、ラジオ体操等の有酸素運動と併せて、筋力トレーニングを行うことが良いといわれています。椅子を利用したスクワットやかかとの上げ下ろし、腿上げ等の運動は、自宅でも簡単に出来るため取り入れると良いでしょう。

(3)自分に合った社会参加を心がける

 人や社会との繋がりが豊かな方ほど、要介護や認知症になりにくく健康寿命が長いといわれています。また、活動量、心の健康、口腔機能、栄養状態、身体機能等、幅広く健康に影響しているため、社会との繋がりを保ち続けることは、フレイル対策には大切です。
 自分に合った社会との繋がりを持つためにも、家族や友人、地域の人々と交流を持つことを心がけましょう。行事や趣味の活動、ボランティア活動等に参加をしたり、仕事に就く等、定期的に社会と繋がれる環境を作りましょう。

 フレイル対策のためには、「食事」と「運動」、自分に合った「社会参加」に継続的に取り組むことが大切です。今回ご紹介した対策のポイントを参考に、出来ることから取り組みましょう。そして、少しでも長く健康でアクティブな毎日を過ごしましょう。

参考資料

・ 「フレイル予防ハンドブック」(東京大学高齢社会総合研究機構)

ドラッグインフォメーショングループ

2023.03.01