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テーマ関節痛に負けないための体づくり

気温が下がるにつれて、ひざや腰等の関節痛を訴える方が増えてきます。つらい痛みが続くと、動くのが億劫(おっくう)になり運動量が減少します。その結果、筋肉量が落ちて「ロコモティブシンドローム」(★1)になる危険性が高まり、この状態が更に悪化すると、「歩けない」「立ち上がれない」といった要介護の状態となってしまいます。そうなると、「健康寿命」(★2)を縮めてしまうことにもなります。いつまでも自立し

★1:「ロコモティブシンドローム」…加齢に伴い、骨・関節・筋肉等の運動器の働きが衰え、日常生活の活動が困難となり、要介護や寝たきりの状態になること。またはそのリスクの高い状態のこと。

★2:「健康寿命」…日常的に介護を必要とせずに自立した生活が出来る生存期間のこと。
 

関節痛の予防・対策

 関節痛は、クッションの役割をする関節軟骨がすり減って骨同士が擦れたり、関節の周囲で炎症が起きたり、「靭帯」(※1)が伸びてしまったり切れてしまう等、様々な原因が重なって起こります。

関節に負担のかかりやすいスポーツをされている方や中高年の方の中には、関節軟骨がすり減って関節が変形したことにより、ひざ等に痛みを感じている方が多くいらっしゃいます(変形性関節症)。

軟骨のすり減りを防ぎ、痛みを和らげるためには、普段の生活で次のようなことに気を付けましょう。

※1:「靭帯」

 骨と骨をつなぎ、関節を安定させ、関節の運動を安全にしたり、制限したりする弾力性のある繊維性の組織のこと。


 

1.標準体重を維持しましょう

 関節軟骨のすり減りを防ぐためには、関節への負担を減らすことが大切です。
体重が増えると、体を支える腰やひざに負担がかかり、関節軟骨がすり減ってしまいます。
歩行時、ひざには体重の2〜3倍の荷重がかかっていると言われていますので、5kg体重が増えると、ひざへの負担は10〜15kgも増えてしまうことになります。

一方、痩せすぎも良くありません。必要な栄養が不足し、骨や筋肉を弱らせるリスクが高まるからです。
年齢を重ねると、あっさりした食べ物を好む方が多くなり、食事の量も少なくなりがちです。
必要なたんぱく質やエネルギーが不足して低栄養になると、筋力低下に繋がるため注意が必要です。

目安となる「標準体重」は、以下の計算式で求められますので、日頃からご自分の身長に対する標準体重と、ご自分の体重を把握し、筋肉の維持が出来るよう食生活にも気を配ることが大切です。

 

2.体を温めましょう

 痛みが出てすぐの時には、炎症を抑えるために患部を冷やした方が良いのですが、慢性的な腰痛や関節痛は、患部を温めて血行を良くすると、痛みに関係する物質の代謝が促されるため、楽になります。
温湿布や保温タイプのサポーターを活用したり、お風呂でゆっくり温まるのもおすすめです。

食事では、唐辛子・ショウガ・にんにく等の薬味、赤身の肉類や卵、長ネギ等の体を温める食品を摂って全身の血行を良くし、体を中から温めましょう。

<体を温める食品>
 唐辛子・ショウガ・にんにく・赤身の肉類・卵・長ネギ

 

3.軟骨の成分を補給しましょう

 軟骨の主な成分は、水やコラーゲンの他、コンドロイチンやヒアルロン酸等の「ムコ多糖類」(※2)です。

軟骨のすり減りは、加齢や肥満等によって関節に負荷がかかることで起こりますが、加齢とともに、体内で軟骨の成分を作り出す力が衰え、減少していくことも一因です。

軟骨の成分は体内で生成されるものですが、年齢とともに生成能力は低下していきます。
食事から十分に摂るのは難しいため、サプリメントや医薬品も上手に利用して、軟骨のすり減りが原因で起こる関節痛発生のリスクを軽減しましょう。

※2:「ムコ多糖類」

 コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、その他の物質が、たんぱく質を中心にひとかたまりになったもの。細胞の周りで水分を蓄える働きを持つ。加齢とともに減少するため、体内の水分量が減少し、その結果、様々な不調の原因になるといわれる。


 


コンドロイチン

 コンドロイチンは、軟骨の構成成分です。
軟骨に水分を引き寄せて、保水性や弾力性を与え、軟骨の柔軟性、クッション性を高めてくれます。

グルコサミンを一緒に配合した健康食品が数多く販売されていますが、グルコサミンとコンドロイチンを一緒に摂ると、相乗効果でより効果を発揮するといわれています。
軟骨を作る材料になるグルコサミンと、保水力の高いコンドロイチンを一緒に摂ることで、軟骨のクッション性をより健康に保ちます。

どちらの成分も体内で生成されますが、加齢とともに生成能力が低下していく成分のため、食事でしっかりと補いましょう。
 

 

<多く含む食品>
 納豆・山芋・オクラ・鶏肉の皮・鶏の軟骨


 


グルコサミン

 グルコサミンは、軟骨の構成成分であり、軟骨細胞を刺激して、傷ついた軟骨の再生を促すとも言われています。

グルコサミン単独で摂取するよりも、コンドロイチンと一緒に摂取することで相乗効果が期待出来ます。

食品から摂取することも出来ますが、少量しか含まれていないため、十分に摂るにはサプリメント等を利用するのが良いでしょう。
 

 

<多く含む食品>
 山芋・オクラ・干しエビ
 


ヒアルロン酸

 ヒアルロン酸は、水分を保持する力が非常に高く、関節においても、軟骨の水分を保持することで衝撃を吸収するクッションの役割をしています。

動きが鈍くなってしまった軟骨に油を差すようなイメージで、関節の動きを良くする効果があるとされています。

<多く含む食品>
 フカヒレ・うなぎ・豚足・スッポン
 

 

コラーゲン

 軟骨の約50%はコラーゲンで構成されています。
軟骨に含まれるコラーゲンの代謝が悪くなると、古いコラーゲンが残り、弾力性が失われて硬くなってしまいます。
そうすると、軟骨はちょっとした衝撃ですり減ったり、潰れたりしてしまいます。

コラーゲンを積極的に摂ることで、軟骨そのものの新陳代謝を活発にしましょう。

<多く含む食品>
 鶏肉の皮・豚足・魚の皮

 



 

4.筋肉を鍛えましょう

 関節の痛みを和らげるためには、関節周りにある筋肉を強化することも大切です。
適度な運動を継続するとともに、良質なたんぱく質を摂るよう心がけましょう。
 

たんぱく質

 食事では、良質なたんぱく質を豊富に含む肉・魚・卵・牛乳・大豆製品等をバランス良く摂ることが大切です。
特に、年配の方は、肉や卵の摂取が不足しがちになるので、積極的に摂るようにしましょう。

また、たんぱく質を構成するアミノ酸の中でも、分岐鎖アミノ酸「BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)」(※3)は筋肉に多く含まれる成分で、筋肉の合成にも非常に重要な役割を果たしています。

このため最近では、BCAAを含む「必須アミノ酸」(※4)の摂取が推奨されています。
必須アミノ酸のサプリメントや、BCAAを強化したプロテイン等も健康食品として販売されていますので、上手に活用してみましょう。

※3:「BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)」

 筋肉の構成成分であり、筋肉のエネルギーとしても利用されるので、補給することでスタミナ維持に役立つ。また、激しい運動による筋肉ダメージの回復を早めてくれるので、疲労が翌日に残りにくくなると言われている

※4:「必須アミノ酸」

 体内でほとんど合成出来ないため、食事等から摂取する必要がある9種類のアミノ酸のこと。


 

5.骨を強化しましょう

 関節痛の主な原因は、軟骨がすり減ったためとされていますが、カルシウム不足が原因で骨が変形してしまい、痛みを引き起こす場合もあると言われています。
ロコモティブシンドロームを引き起こす大きな原因として、骨粗しょう症や骨折が挙げられますが、それらのリスクを防ぐという点でも、骨の強化は非常に重要です。


 

カルシウム

 カルシウムは、骨を作る材料で最も重要な栄養素ですが、日本人は不足しがちであるといわれています。

カルシウムの摂取量は、20歳以上の男女で1日あたり650〜850mgが目標(推奨量)とされていますが、平均すると1日あたり500mg程度しか摂れていないのが現状です。
骨粗しょう症の予防のためにも、1日に700〜800mgのカルシウムを摂ることが推奨されています。
例えば、この量を食品だけで摂ろうとすると、牛乳であれば1日にコップ3杯以上飲む必要があります。
難しいと思われる方は、カルシウムに特化した健康食品やサプリメント等で補うと良いでしょう。

カルシウムは、牛乳・乳製品・小魚・海藻・豆類等に多く含まれるので、毎日積極的に摂るようにしましょう。

<多く含む食品>
 牛乳・ヨーグルト・チーズ・豆腐・小松菜・煮干し 等
 


ビタミンD

 ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収と定着を高め、骨の健康に役立つビタミンです。
ビタミンDは食事として摂る他に、日光を浴びることにより体内で合成されます。

このため、1日10〜20分は日光に当たって過ごすことを意識しましょう。
日照の少ない地域や季節、屋内で過ごすことの多い高齢者や病人は、ビタミンDが体内で合成されにくいため、食事から摂る機会を増やす必要があります。

ビタミンDは、魚やきのこに多い栄養素です。また、きのこは日光に当てることでビタミンD量が増えるため、使用する前に天日干しするのがおすすめです。

 ビタミンDは、油脂に溶けやすいので、油で炒めたり、ごまやピーナッツ等の種子類と一緒に食べると吸収が良くなります。

<多く含む食品>
 鮭・サンマ・しらす干し・きくらげ・しいたけ 等
 


 


 

ビタミンK

 ビタミンKは、骨の形成や骨質の維持に働きます。
食品として摂取する他に、「腸内細菌」(※5)によって合成されます。

ビタミンKを含む食品として代表的なものは納豆ですが、緑黄色野菜、特に青菜の野菜に多く含まれており、青汁にも含まれる成分です。

但し、「血栓症」(※6)を予防するお薬の中には、ビタミンKにより効き目に影響を受けてしまうものもあるため、摂取にあたっては注意が必要な場合もあります。

※5:「腸内細菌」

 ヒトの腸管に生息する細菌。ヒト1人の腸管には、100種類以上の細菌が100兆個、重さにして約1kg存在していると言われている。乳酸菌等の善玉菌、大腸菌などの悪玉菌、そしてどちらにも属さない中間の日和見菌に大別され、体の健康には、善玉菌が占める割合を増やすことが重要であるとされる。

※6:「血栓症」

 何らかの原因によって血の塊が血管で詰まってしまう病気のこと。脳の血管で発生したものを脳梗塞、心臓の血管で発生したものを心筋梗塞と呼ぶ。よく耳にするエコノミークラス症候群もこの一種で、これは手足に出来た血栓が肺の動脈まで流れて血管を詰まらせることで起きる。


<多く含む食品>
 納豆・モロヘイヤ・小松菜 等
 


マグネシウム

 マグネシウムは、リンやカルシウムとともに骨を形成するほか、筋肉・脳・神経に存在し、体内の様々な代謝を助ける機能を持ちます。

大豆や豆腐、納豆等の大豆食品、玄米やそば、野菜や海草類に多く含まれます。
 

<多く含む食品>
 納豆・豆腐・そば・ほうれん草・ワカメ 等
 

 



関節痛=年配の方の悩み、という印象がありますが、年齢だけでなく、体重が増加することにより関節への負担が大きくなることも原因の一つです。
そのため、近年問題視されているメタボリックシンドロームや肥満も痛みを引き起こす大きな原因となっています。

痛みが酷くなってからでは対処も困難になるため、関節痛は、痛みが酷くなる前に対処することが大切です。
痛みの軽いうちから対策し、悪化させないようにしましょう。

そのために、バランスの良い食生活を心掛け、無理のない範囲で運動習慣を持つことも大切です。
但し、運動の際、無理やり大きな負荷をかけると、かえって関節を痛める原因となってしまいますので、「毎日、適度に」を意識し、いつまでも元気で活き活きとした毎日にしていきましょう!

 

その他、関節痛に関する情報は、薬剤師コラムをご覧下さい。


 

6.カワチ薬品栄養士おすすめレシピ

カルシウムたっぷりおやつ「牛乳くずもち」

レシピは上のリンクをクリックするとPDFファイルをダウンロードして頂けます。 

2017年9月1日 カワチ薬品 ドラッグインフォメーション室

参考:●厚生労働省「日本人の食事摂取基準」ウェブサイト
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

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